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Flat Face

『三銃士 王妃の首飾りとダ・ヴィンチの飛行船』

amazonのレビューにもあったけど、何も考えずにアクションを楽しむという意味ではとても軽快な映画。
なんとなく『シャーロック・ホームズ』を彷彿させるアクションっぷり。

でもロバート・ダウニーJrがかっこいいのと、ジュード・ロウとの夫婦っぷりが愛らしいのでホームズに軍配。


三銃士は冒頭でしっかりキャラクター特性出したのに最後は飛行船のパワーバトル。ああ、貧乏性には辛い贅沢なキャラクターの使い方……。


最後のオチでは単純に「悪を成敗」とならないあたりにひねりを感じました。まあ確かに三銃士とダルタニアンの目的に還るとそうならざるを得ないか。


でももっとダルタニアンの成長物語が観たかったよう!
粗野で無鉄砲なダルタニアンが自分の独断で人を犠牲にした時、初めて人のために勇気を出すことを覚えなきゃいけないんですよ!
『七人の侍』の菊千代を見習いなさい!



とはいえ最近はこういうチェイサーみたいな作品も受け手には必要なのだよな、と思い始めていたり……。

# by ilyaletre | 2012-05-27 16:23 | たわごと | Trackback | Comments(0)

Few Fuel

 藤崎竜『封神演義』。

 なんたる正統なジャンプ精神の継承者……。

 ドラマツルギーを考えるとやっぱり、
 ・葛藤の解決
 ・敵対者との決戦
 の順序が正道なのでしょうかね。本作は葛藤の解決が今一つ伸びなかったので敵対者とのバトルで乗り切った感じでしたか。

 でも、どうなんだろ、主人公が葛藤に対する解を出す瞬間こそが、敵対者を打倒する時のカタルシスに繋がるのだと考えると、葛藤の解決はぎりぎりまで棚上げされてもいいような……。

 たとえば『まどかマギカ』のまどかが葛藤の答えを出すのはやっぱり最終局面だよね。先に解決はしてない。

 主人公の内面と外面のパズルが同時にパチっとはまるのがいいなーと。
 と、思って他の作品をぽちぽち拾ってみたけど、明確にそういう構造になっていなくても充分面白いのは一杯あるようなので別に必要条件ではないのか……。


 まあ『封神演義』は最終的に妲己がおいしいとこ全部持っていった。かっこよすぎる。ダドリー・スミスばりに作者に愛された悪役に違いない。
 だからこそ妲己×太公望×王天君のエピソードがみたかったなー。


 田中メカ『お迎えです。』。

 話のバランスがよくできててキャラ立ちも適切……! 少女マンガという括りはもうあまり意味無くて、単純に田中メカさんの技量だな、と。

 出てくる人間に単細胞なのがいないところが、他の作品より抜けている点でしょうか。(いや、それが普通なのか? よくわからん)
 読みながら、「なんか『銀魂』っぽいなー」と思っていたら、そこが似ていることに気付いた。
 みんな素直じゃないというか不器用というか。
 それと比べるとパズーやシータはなんだかペラッペラだな(←いつもこれが比較基準)。

 物語の流れ自体は結構ベーシックなのになー、ちょっとの(脚本的な)味付けの違いでかなり他の少女マンガよりも入り込んで読める不思議。いや、不思議で片づけちゃ駄目なんだけど。

# by ilyaletre | 2012-05-02 22:25 | たわごと | Trackback | Comments(0)

Tonebender Society

 一人晩酌しながら映画二本も観てもーた。

 (1) 『鬼神伝』アニメ。
 (2) 『インファナル・アフェア』台湾映画。


 2が良過ぎて1は忘れました。
 がんばって思い出します。


 1は平安時代に飛ばされた男の子が、当時鬼と貴族の対立激しい乱世と向き合い調停者となっていくっていう。
 ネタバレますが、設定のポイントは鬼もまた実は人間でいわゆる山禍(字違ってたらごめんなさい)だったという点で少し善悪問題に奥行きをつけてます。笠井潔さんがこのあたり凄い解説を別の本で書いてましたが、大体その路線。そこはなるほどと思いました。
 かといって大和朝廷の領地をあんなゲリラに襲う理由は説明されず。鬼側も自分達が被害者のみの側面で主張するのがマズかった。いやいや、おたくの下っ端は朝廷の人殺しとるよ、なに自分関係ないみたいな顔してるの。

 で、勾玉の一族といってリーサルウェポンなヤマタノオロチを操れる血統の末裔のはずの平凡な男子学生という俺TSUEEEE!が主人公。

 脚本もなんだか場面ごとでとりあえずかっこつく台詞言わしとけ的な感じに見えてしまった。子供向けに作りましたよ、という意図が透けて見えたような気がしてちょっとハテナマークが浮かびました。

 あげく、ヤマタノオロチのデザイン監修は大友克洋なのに全然かっこいくない。フツーの八頭龍描いてどーすんのさ。
 いっそ雑魚敵の土蜘蛛の方がかっこいいよ。
 あと鬼の面被ると黒い霧に包まれて戦闘モードになる「オニ」と呼ばれる山の民の方がかっこいい。
 基本的に主人公の使う手段が「いかにも端正にかっこいい」っていうのよりは、主人公が使うものこそズルくてグロテスクな方がいい。ヤマタノオロチも主人公の体から八つの首が食い破って出てくるみたいなのじゃ駄目だったんだろうか。

 最初はトロルvsフロド達みたいなバトルシーンでかっこいかったのに。。。


 次は2のインファナル・アフェア。

 クライムサスペンスとしては『L.A.コンフィデンシャル』に迫る緻密なプロット。
 更に終わり方も「善人の大勝利」じゃなくてそれを汚して終わるあたりに上記の作品と同じにおいを感じます。

 『シュリ』の時もそうだったけど、冒頭の10分くらいの情報の詰め込み方というか情報の断片化のしかたが、アジア映画は半端じゃない。あと5分我慢して観ると結局、ぼちぼち繋がってくるのでいいのですが。それに映画館だと10分間わけわからんと言っても動けないし、伏線回収されるまで待つしか無いから、それもコミコミで作っているような気がする。
 思うけど、「謎が多い」こと自体は特に「引き」には繋がらないのよね。「解りそうで解らない」なら食いつく余地もあるんだと思う。けど、いきなり「解らない情報」を二~三個いっぺんに散らかしても「え、えーと?」となって終わってしまう。スピード感も出ない。結構損な演出だと思うんだけどなあ。。。ある程度まとまった躍動感があって説明ほとんど要らない冒頭というとやはり、今目の前にあるものだと『ラピュタ』が挙がってしまう。。。

 あと以前既出作品を観ているせいかケリー・チャンだけ異様に際立って美しく見えてしまったのはなんですか。たぶんあれだ、人間にほくろは必要なのだ。何にも無い肌より美しいのだ。

 寝る。


 追伸:
 『プロジェクトA』借りて観ようとしたら、二つのプレーヤーとも本編起動時にクラッシュして死にました。ジャッキー・チェンさんディスクの中からバイオレンスし過ぎ。お茶目キング。

# by ilyaletre | 2012-05-01 01:41 | たわごと | Trackback | Comments(0)

Ghosty Monday

 お金を崩すつもりで買った平山夢明『独白するユニバーサル横メルカトル』。


 短編集です。まだ二編ほど読んだだけです。


 ……が、おもしろい!

 鬼畜なホラーばっかりなのですが、なんというかツボを心得てらっさる。

 きっと平山さんは凄く性格悪いというか意地悪い人なんじゃなかろうか。
 HAHAHAHAって言いながら鉈でヒトの頭かち割れる人だよ。

 僕が大好きな津原泰水さんと同じ感じがする。
 幻想的で不条理で残酷でドライ!


 最近技術書しか読めてなくてうっぷん溜まってたのでこういうの丁度よかったや。

 知ってる範囲だけで言うと、

 平山夢明
 津原泰水
 森奈津子

 が現代の国内怪奇作家の白眉と勝手に思ってます。


 お絵かきだと山本タカトさんが飛びぬけていますな。

 よしがんばろう。

# by ilyaletre | 2012-04-30 14:37 | たわごと | Trackback | Comments(0)

Woopie Moopie

 山本周五郎『正雪記』。

 江戸時代に起きた慶安事件という謀反の首謀者とされる由井正雪の生涯を描いた歴史小説。
 なんでも、本来の「謀反人という悪漢」から「浪人のために奔走した苦労人」へと、由井正雪という人物の解釈を180度換えたことが高く評価された作品だとか。


 本作といい司馬作品といい、時代・歴史小説には今のトコはずれがないことに軽く呆然。
 一つには「嘘をつけない」ことからくる、リアリティへの及第点が異常に高く、またそれをクリアしているからこそ、面白いと思ってしまうのかもしれない。

 「目に浮かぶようにありありと」というのを心底感じてしまうのが時代小説かな、と。
 これは海外小説と大きく違う点。つまり風土の違いは、イメージのしやすさの違いに直結する。
 かてて加えて、先述のとおり膨大な資料を下地にした、「そうであったはず」の情景を描き出そうとすることで、随分と感情移入が楽になる。


 感情移入が楽になった結果。

 正雪の想い人、石川はん が好きになってしまう。読んでいる間だけ。そしてその石川はんに大層気持ちを入れてしまう。

 石川はんは正雪が10代半ばで寄宿していた武家の娘で、その家の当主も正雪の人格を認めて、はんとの縁談を奨めるほどだった。
 しかし正雪ははんに惹かれる自分がいることに気付きながらも、その武家の家業を引き継ぐことが嫌で、夜半に出奔して旅に出てしまう。
 屋敷を抜け出すその時、正雪の意図に気付いていたはんは、正雪に声をかける。しかし正雪の出奔を止める様子もない。むしろ快く送り出してくれるはんに、正雪は決心する。


「きっと帰ってきます」
「はい――」
「待っていてくれますね」
「はい――」



 それが二人の交わした約束。二人とも一途にそれを信じ続ける様に何度も胸が熱くなりました。

 15年後の再会に至るまでにはそれぞれに色々とあって、決して最後は単純なハッピーエンドにはならないのですが、お互いのお互いへの暖かい眼差しは、あの世知辛い物語世界の中で唯一の救いになっていました。
 ちょうど、司馬遼太郎『燃えよ剣』の土方歳三とゆきの関係のように、時代の奔流に塗れながらほんのひと時だけ手にすることのできるささやかな幸福を感じさせてくれます。

 他にも数々の名場面……。
 ほぼ確実に今年一番の本が出てしまったような。
 これを塗り替えるのは恐らくまた同じ山本周五郎しかいないのではないか。


 悪意と混迷を描かせたらぴか一の桐野夏生
 誠意と人情と描かせたらぴか一の山本周五郎

 という構図が自分の中で早くも確定してしまったように思える。
 どちらも技術的な勉強とか分析を超えてしまっているあたりで殿堂入りなのだろう。


 ということで久しぶりに寝る間を削っての読書体験でした。

# by ilyaletre | 2012-03-25 00:24 | たわごと | Trackback | Comments(0)

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